【レポート】いよいよ本番「未来の保土ケ谷の運動会2020」(保土ヶ谷小学校/令和2年2月1日、3日開催)

今辻 宏紀(横浜市立保土ケ谷小学校 教諭)

 保土ヶ谷小学校の小学5年生が1年間をかけて開催を目指してきた『未来の保土ケ谷の運動会2020』の本番の日が訪れました。子どもたちは朝から自分たちでデザインした未来の運動会Tシャツを身にまとい、円陣を組んで気合いを入れます。



 保護者の方の協力もあり、準備は万全。「何人来てくれるのだろう……?」と不安そうな子どもたちをよそに、受付がスタートするとお客さんの長い列ができあがりました。

 予想を覆すたくさんのお客さんを前に子どもたちの声も明るく、「おはようございます!」「ようこそ!」と来てくれた来客者を次々と席へ案内しました。いよいよ未来の運動会がはじまります。

未来の運動会のはじまりです!

リーダー決め。まちの人が主役になるように

 最初は座席にて本日の流れの説明と、4色の各リーダー決めです。子どもたちがリードしながらも、まちの人が主役となるように声かけをします。各色からリーダーが決まると大きな拍手が起こります。最初のコミュニケーションでゲストの緊張もほぐれた様子が伺えました。無事にリーダーが決まり、いよいよ選手入場です。

開会式「創るスポーツで未来の保土ケ谷をハッピーに!」

 開会式では、私たちの活動の発起人である運動会協会犬飼さんによる開会の言葉と遠吠えからはじまりました。協賛紹介では企業「満天の湯」様からご挨拶をいただいたり、保土ケ谷の宿場キャラクターの宿場ちゃんと子どもの準備体操をしたりと、外部や地域の方々と一緒に運動会を創るメッセージを打ち出した開会式となりました。

 子どもたちが作ったスローガンは「創るスポーツで未来の保土ケ谷をハッピーに!」会場のゲストとスローガンを共有して運動会が盛大にスタートしました。MC&DJ、運動会を支える各係も子どもたちが担当します。わくわく、ドキドキ、はじめての「未来の保土ケ谷の運動会」のスタートです。


【1日目】令和2年2月1日

第1種目「アイス☆アイス」

 第1種目は「アイス☆アイス」コーンとボールをアイスに見立て、チームみんなでボールをコーンを使って受け渡していき、ボールの個数で得点を競う競技。ただし、YCAMボール(振動認知センサー)でゆれた数だけ点数が引かれます。老若男女だれでも楽しめるということで、全員で行いました。初めて見るYCAMボールとモニターにみんなくぎ付け。得点発表では大きな歓声が上がり、全員で最高に盛り上がった第1種目となりました。


第2種目「ゴ―!☆満天の湯!!」

 第2種目は「ゴ―!☆満天の湯!!」地域のお風呂屋さん「満天の湯」とのコラボ競技。満天の湯のTシャツを着た子どもたちがファシリテーターとなり、巨大なプールに入っているボールをお風呂と水に見立て、「お湯」「ぬるま湯」「冷水」に桶で仕分けていく競技。1つずつ桶に玉を入れていくことや、ボールの色や種類をファシリテーターの声で瞬時に判断することが意外に難しい競技でした。得点発表は満点の湯の支配人の方にやっていただき盛り上がりました。


第3種目「東海道ドライブリレー☆」

 第3種目は「東海道ドライブリレー☆」宿場町である保土ケ谷の東海道をプラズマカーでリレーしながら、YCAMボールにお手玉を入れたり、当てたりして得点を競う競技。YCAMボールが振れたらモニターに得点が映し出されるので、当たった時には歓声が上がりました。プラズマカーのスピードのゆるさにほっこりしながらも、お手玉を投げる場面に力が入る競技で、とても盛り上がりました。


応援合戦

 休憩時間には、4色対抗応援合戦を行いました。「声量測定器」のアプリを使って、保土ケ谷にまつわる色のかけ声を全力の声でかけ合います。声の大きさが数値となってモニターに映し出されるのでみんな本気で声を出す展開に!

「保土ケ谷駅前にある保土ケ谷ラーメンの看板の色は何色だ~!?」

「赤~~!!」

 小さい子からおじいちゃんまで大きな声で盛り上がりました。


第4種目「モニターリレー☆」

 第4種目は「モニターリレー☆」。「パラレルアイズ」とよばれるiPod touchの視覚交換システムを使った競技。VRのHMDのようなこの頭に付ける機器を使ってチームの6人がリレーをし、6枚の紙を裏返しにすると文字がモニターに映ります。それを同じチームの人たちが見てなんの言葉かを当てるリレークイズ。色々な人の視覚が見えるパラレルアイズの仕組みにみんな目をまるくしてモニターを見ていました。答えが分かると勢いよく手を挙げて盛り上がりました。


第5種目「ほどじゃがを集めろ!!」

 第5種目は「ほどじゃがを集めろ!!」最終種目であり、全員参加となったこの種目は、バブルボールと人が背負った籠の中に保土ケ谷名物のじゃがいもである「ほどじゃが」に見立てたお手玉を入れる競技です。種目名にもある通り、当然たくさん入れたチームが勝ちなのでみんな必死に入れていました。玉入れを邪魔する大きな手をかいくぐり、各チーム100個以上の玉を入れてしのぎを削りました。


スポーツ創り体験会

 午後は「スポーツ創り体験会」です。運動会屋さんから借りた道具や学校にある道具を使って「遊びを創」りました。そこにいる人と自由に道具を選び、ルールを創り、ひたすら遊びます。大人と子どもが入り混じって、汗まみれになるくらい遊びました。

【2日目】令和2年2月3日

第1種目「保土ケ谷宿の戦い ~みなのもの! 数をふやせ!~」

 第1種目は「保土ケ谷宿の戦い ~みなのもの! 数をふやせ!~」。この種目は、バブルボールにボールを当て、中にある振動認知センサーが反応した数で勝敗を決める競技です。老若男女すべての人がたのしく取り組める競技で、モニターを見ながらみんなが一生懸命にボールを繰り返し投げていました。


第2種目「さがせ!保土ケ谷名物リレー!」

 第2種目は「さがせ!保土ケ谷名物リレー!」。この種目は、網の中をかいくぐり、「プレイバルーン」とよばれる大きな風船の中でお宝であるお手玉を拾ってくる、リレー形式の競技です。小さい子どもを中心に勢いよく風船の中に入ってお手玉を探していました。時折ファシリテーターの子どもたちがプレイバルーンを勢いよくもちあげ、どこに何色の玉が隠れているのかヒントを見せながら競技が進みます。


第3種目「せめろ!まもれ!保土ケ谷バトル☆」

 第3種目は「せめろ!まもれ!保土ケ谷バトル☆」この種目は、真ん中に置いてあるものを両サイドから当てて倒し、倒した数で勝敗を競う競技です。「ジャンボピン」など倒しがいのある障害物が置いてありますが、バブルボールに入った相手チームが邪魔をします。邪魔をかいくぐって、いかにたくさんの障害物を倒せるか。ジャンボピンが倒れるときは大きな歓声が起こっていました。


第4種目「『たぶんコレ!』宝さがしゲーム☆」

 第4種目は「『たぶんコレ!』宝さがしゲーム☆」この種目は、YCAMボール(振動認知センサー)を使って行う競技です。無数のコーンの中にYCAMボールが4つだけ隠されているコーンが交じっています。競技者は二人三脚で歩きながら、モニターに映る数の増え方を見ながらコーンを揺らしてYCAMボールを探し当てる競技です。最後には「たぶんこれ!」といいながらコーンの中を覗き込んで正解を確認します。


第5種目「ひっぱれ!!たまひきゲーム!!」

 第5種目は「ひっぱれ!!たまひきゲーム!!」2日目最終種目となったこの種目は、4つに分かれた綱を4色同時に引くという競技です。これに玉入れをくみあわせて「たまひき」ゲームとなります。チームの最後尾の人が、玉運びの人から受け渡された玉をかごの中に投げ入れます。つまり、たくさん引っ張って自分のチームのかごに近づけたほうが玉が入れやすくなるという競技です。全員で「せーの!」といいながら引っ張り合う姿は迫力満点! まさに最終種目にふさわしい競技となりました。


閉会式

 閉会式では、各色の温かい拍手の中で表彰が行われました。個人賞ではMHP(もっとも保土ケ谷のまちをもりあげたで賞)など、子どもたちが企業の方々とタイアップして用意した賞品が授与されました。参加者の感想タイムでは、ディベロップしてきた種目について、「楽しかった」「だれでも楽しめる競技になっていて素晴らしい」などたくさんの言葉をいただき、子どもたちも嬉しそうでした。最後に整理体操と、参加者全員で集合写真をとって幕を閉じました。2日間合計で延べ600人超の参加者集めまることができました。学校×地域×企業の新しいコミュニティーが、まちの活性化につながることを、子どもたちが示してくれた2日間になりました。

未来の保土ケ谷の運動会を終えて

 未来の保土ケ谷の運動会が終わってから、子どもたちと振り返りを行いました。「つくった種目はどうだったのか?」「うまくファシリテートできたのか?」「保土ケ谷のまちを盛り上げることができたのか?」「自分たちにどんな力が身に付いたのか?」子どもたちは改めて自分たちの1年間の探究の過程を問い直しています。

 振り返りで出た数多ある発言の中からひとつ、子どもからでた印象的な振り返りの言葉を取り上げるならば、「このまちと人がもっと好きになった。でも……ここからがはじまりだね」という発言です。子どもたちは未来の運動会を成功させてまちを盛り上げるという大きな目的意識のもと、まちとつながること、人とつながる中で社会で必要な様々な資質・能力の素地を身に付けてきました。しかし、育ったのは能力だけではなく、育ったまちへの愛着、人を敬う心、そして多くの人の中で生きる自分自身に対する自尊心でした。これから未来の社会に生きる子どもたちが自分自身への生き方を見つめ直すひとつのきっかけになればと願ってやみません。

令和2年2月1日 1日目
令和2年2月3日 2日目

いますぐスポーツ共創をはじめよう!

workbook
スポーツ共創ワークブック ダウンロード(PDF 23MB)

今辻 宏紀

横浜市立保土ケ谷小学校 教諭

横浜市生まれ。専門は体育だが、全ての学びにおいて、子どもも教師も『愉しい』なかに本気の探求があると、日々授業の在り方を模索している。

この記事はスポーツ庁 2019 年度
「スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト・新たなアプローチ展開」にて作成された記事です。
WEBサイトspotsuku.comの終了にともない文部科学省ウェブサイト利用規約に則りコンテンツ加工掲載しております。
出典:スポーツ庁WEBサイトspotsuku.com